機器概要
輸送時、医薬品は様々なストレス(温度、振動、落下等)にさらされています。
特にバイオ医薬品の場合は、輸送時の振動によるタンパク質凝集体の生成がよく知られています※1-3
振とう機(撹拌機)や摩損度試験器を用いたタンパク質凝集の評価は一般的ですが、単独ストレスしか確認できず、複合ストレスのかかる実輸送環境の評価には最適とは言えません。
更に、バイオ医薬品は単価が高く、不具合による廃棄時の損失は莫大な金額となる為、輸送リスクの徹底した低減が求められています。
一方、バイオ医薬品の保存に使用される容器(バイアル瓶、シリンジ等)も医薬品の安定性に影響していることが知られています。例えば、シリンジのガラス表面に塗布されるシリコンオイルの影響により、凝集を誘発することが確認されていますが、具体的なメカニズムは研究中です※4。
- 低温・高温環境の再現
- 一部の試薬等では、低温環境下での振動によりコロイド凝集反応が起きることがわかっています。
エスペックの小型環境試験器に低温・高温領域での動作が可能なバイオクラフト社製の振とう機を組み合わせることで、このような実輸送に近い環境での評価を行えます。
大阪大学 高分子バイオテクノロジー領域 内山研究室との共同研究
- ●研究室のご紹介
- バイオ医薬品は輸送をはじめ、製造、保管等、各工程で様々なストレスを受けています。
そこで、大阪大学の内山先生の研究室では、凝集体の正確な定量法の開発、医薬品に含まれる凝集体の定量、さらに凝集メカニズムに基づく凝集の低減法の開発を進めています。凝集体が免疫系に与える影響についても細胞を使って評価しています。 - ●エスペックとの共同研究
- 2019年4月から、内山研究室とエスペックは「バイオ医薬品・試薬等の輸送安定性試験法」をテーマに共同研究を開始しています。バイオ医薬品や試薬について、標準的な輸送安定性試験法がなく、品質を評価する上での課題となっています。そこで、本研究では、広く利用可能なバイオ医薬品・試薬等の輸送安定性試験法の確立を目指しています。
研究には、エスペックが提供する「振とう機投入恒温槽」を使用しています。 - 参考文献
-
- ※1 T. Torisu, T. Maruno, Y. Hamaji, T. Ohkubo, S. Uchiyama, Synergistic Effect of Cavitation and Agitation on Protein Aggregation, J. Pharm. Sci. 106 (2017).
- ※2 T. Torisu, T. Maruno, S. Yoneda, Y. Hamaji, S. Honda, T. Ohkubo, S. Uchiyama, Friability Testing as a New Stress-Stability Assay for Biopharmaceuticals, J. Pharm. Sci. 106 (2017).
- ※3 E. Krayukhina, K. Tsumoto, S. Uchiyama, K. Fukui, Effects of syringe material and silicone oil lubrication on the stability of pharmaceutical proteins, J. Pharm. Sci. 104 (2015).
- ※4 内山 進、“抗体医薬などのバイオ医薬品の物理化学的評価”、薬学雑誌、p.443-448、2016年
機器概要
- ●用途
- 主にバイオ医薬品や試薬等の研究開発
- ●特長
-
- 1.温度制御しながら振とう試験が可能
温度範囲-10℃~+65℃で振とう試験が行えます。
これにより、バイオ医薬品のタンパク質の凝集の予防や予測に向けた研究に用いることができます。 - 2.コンパクト、各種振とう制御、作業効率向上
研究室の実験台に置けるコンパクトサイズの恒温槽に各種振とう器(上下、回転、往復等)を選択できます。 複数台設置することで、各種温度条件下の振とう試験が同時に行えるため、バイオ医薬品の凝集の予防、予測のための研究開発の効率化につながります。
- 1.温度制御しながら振とう試験が可能
●主な仕様
左右にスクロールしてご覧ください。
振とう機種類 | シーソー | ウェーブ | ラボ(レシプロ) | ラボ(ロータリー) | エイト |
---|---|---|---|---|---|
型式 | BC-700 | BC-720 | BC-730 | BC-740 | BC-750 |
動作 | 上下振幅 | 三次元駆動 | 水平往復 | 水平回転 | 水平8の字 |
振幅数(往復/分) | 3~33回 | 3~33回 | 12~120回 | 12~120回 | 10~50回 |
振幅巾 | 30・40・60mm | - | - | - | 前後左右40mm |
傾斜角度 | - | 水平~10° | - | - | - |
使用環境 | -10~65℃ | -10~65℃ | -10~65℃ | -10~65℃ | -10~50℃ |
テーブルサイズ | W319×D220mm | W280×D280mm | W319×D220mm | W319×D220mm | W319×D220mm |
本体寸法(mm) | W254×D225× H140 |
W285×D285× H155 |
W254×D225× H140 |
W254×D225× H140 |
W319×D220× H135 |
搭載重量 | 2kg | 2kg | 2kg | 2kg | 2kg |
本体重量 | 4kg | 5.2kg | 4kg | 4kg | 5kg |
消費電力 | 25VA | 20VA | 25VA | 25VA | 20VA |
この製品をご覧になっているお客さまへのおすすめ製品はこちら
- リーフレット(889KB)
- 製品に関するお問い合わせ
- カスタマーサポートデスク
環境試験器
- 恒温(恒湿)器・恒温(恒湿)室・
急速温度変化チャンバー- 低温恒温(恒湿)器・
恒温恒湿器
プラチナスJシリーズ - ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ
(急速温度変化/スタンダード) - 急速温度変化チャンバー
- 小型環境試験器
- ライトスペック恒温(恒湿)器
(卓上型恒温恒湿器) - 小型超低温恒温器
ミニサブゼロ - 恒温(恒湿)室
ウォークインチャンバー - 安定性試験室
- 安定性試験器
- 低温恒温恒湿器
- 高度加速寿命試験装置
(HAST CHAMBER) - 大型高度加速寿命試験装置 HASTチャンバー
- 大型恒温(恒湿)器
FDシリーズ - ハイレートチャンバー
- 恒圧恒温器
- 恒圧恒温(恒湿)器
MZシリーズ - VOC放散試験チャンバー
- ペーパーマシン評価試験室
- ユニット型温湿度供給装置
ASEシリーズ
- 低温恒温(恒湿)器・
- 冷熱衝撃装置
- オーブン・熱処理器
- ネットワーク商品
- カスタム対応事例
- 全天候型試験ラボ
- 人工気象室
- 低酸素(高地環境)
トレーニング室 - 大型成層圏環境試験装置
- 複合環境信頼性試験装置
- 温(湿)度・振動複合環境試験装置
- 垂直/水平加振複合環境
試験装置 - 多軸振動複合環境試験装置
- 万能試験機用恒温恒湿槽
- スポット冷却加熱装置
- 卓上型無風恒温槽
- 熱変形計測システム
- 振とう機投入恒温槽
- 輸送環境試験装置
- 塩泥水サイクル試験器
- 車載センサー評価試験器
- シロキサン耐久試験器
- サブゼロ処理装置
- 浸漬試験装置
- 大型高度加速寿命試験装置 HASTチャンバー
- 枚葉式クリーンオーブン
HSCシリーズ - 低酸素クリーンオーブン
SCOシリーズ - モジュールエージング
検査システム - 両面大型観測窓中型恒温器