トップメッセージ
サステナブルな未来に向け、
「環境創造技術」をかなめとした事業で社会課題の解決に貢献していきます
世界の先端技術にとって不可欠な企業を目指して
エスペックは、地球上のさまざまな気象環境を再現する「環境創造技術」を駆使した事業を通じて、社会の持続的な発展に貢献したいと考えています。この考えは、企業理念「THE ESPEC MIND」における使命(ミッション)「環境創造技術をかなめに展開するサービス」による「より確かな生環境の提供」に基づくものであり、当社の存在意義(パーパス)とも言えるものです。
今年も集中豪雨による被害が日本各地で発生しました。地球温暖化は年々深刻度を増しています。
また、地政学リスクの高まり、為替の変動、原材料価格の高騰など、世界経済の不確実性は高まっています。加えて、生成AIの急速な普及やデジタル化の進展は、私たちの生活や企業活動の在り方に大きな変化をもたらしています。
このような変化の激しい時代において、より豊かで安全・安心な社会を実現するために先端技術の開発が活発化しています。エスペックはこうした先端技術の実用化や安全性・信頼性確保に不可欠な製品・サービスを提供しています。世界の先端技術にとって、なくてはならない企業として存在感を高めるとともに、社会課題の解決に貢献していきます。
中期経営計画「プログレッシブ プラン2025」は達成に向けて順調に進捗
当社は、長期ビジョン「ESPEC Vision 2025」の実現に向けて、4カ年ごとの中期経営計画(StageⅠ~Ⅲ)を実行しており、2022年度からは、最終ステージである中期経営計画「プログレッシブ プラン2025」を推進しています。本計画では、2025年度の連結業績目標を、売上高550億円、営業利益70億円、営業利益率12.7%、ROE(自己資本利益率)10%と掲げていましたが、2024年5月に目標値を上方修正しました。売上高650億円、営業利益75億円、営業利益率11.5%、ROE10%以上を目指してまいります。
「プログレッシブ プラン2025」をスタートして2年が経過しました。2023年度は特に電気自動車(EV)・バッテリー関連の投資が堅調に推移し、売上高・営業利益ともに過去最高を更新し、ROEは10%となるなど、折り返し地点としては順調に進捗していると評価しています。今後の目標達成に向けては、海外グループ会社と連携し、グローバルでの競争力強化と市場開拓に取り組んでいきます。
装置事業においては、国内での生産能力強化に取り組むとともに、先端技術分野の試験ニーズに応える製品ラインアップの拡充やマーケティングの強化に取り組みます。サービス事業においては、車載用バッテリーに特化した受託試験所を新たに開設し、高まる試験需要にお応えしていきます。
また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けては「プログレッシブ プラン2025」にも掲げているROE10%以上を安定的に確保することが重要だと考えています。今後は、総資産の増加抑制と投下資本に対する効率を高めることでキャッシュを創出し、成長投資や株主還元に活用して企業価値の向上を図ってまいります。加えて、継続的なIR活動により、株主・投資家さまとの対話の充実に取り組んでいきます。
また、さらなる成長に向け2035年度を最終年度とする新たな長期ビジョンの策定にも着手しています。
社員一人ひとりの成長と働きがいを創出
企業発展の原動力は「人」です。当社は、マテリアリティ(重要課題)の一つとして「多様な人材の確保・育成」を位置づけています。毎年、全社員を対象としたエンゲージメント調査を実施していますが、2023年度調査では、会社や組織に対する愛着(エンプロイーエンゲージメント)の評価が低い結果となりました。前述のとおり、昨年度は過去最高の業績となりましたが、一方、マネジメントスタイルやコミュニケーションに不備があったことがエンゲージメント低下の主な要因だと考えています。現在、これらの課題解決に向け、執行役員・本部長が職場での対策についてのアクションプラン(行動計画)を策定し、その速やかな実行に取り組んでいます。アクションプランの進捗は、執行役員会で定期的に確認しているほか、社員も確認できるよう社内のイントラネットに情報掲載しています。 エスペックでは人的資本の最大化に向け、①企業文化の良質化/組織マネジメント、②個の成長支援、③経営戦略と連動した人材育成、④ダイバーシティ&インクルージョンおよび社員の健康と安全の確保に取り組んでいます。
● 企業文化の良質化/組織マネジメント
社員一人ひとりが企業理念への理解を深め、実践していくための「ラウンドアップ研修会」を継続的に行っています。また、経営層が全国の事業所に出向き、社員と対話する「ダイレクトコミュニケーション」も実施しており、この2年間で延べ約900名の社員と対話を⾏いました。こうした場で集めた社員からの要望や意見を経営層がしっかりと受け止め、一つひとつ対策を講じていくことが重要だと考えています。さらに、2023年度からは上司と部下が定期的に面談を行う「1on1ミーティング」を全社的に行っています。
ラウンドアップ研修会
● 経営戦略と連動した人材育成
次世代経営幹部の育成に向けては、長期的な計画に基づいた人材配置、教育を行っていきます。2023年度からは、30代~40代前半の社員で構成する「ジュニアボード」の活動をスタートしました。メンバーは経営に必要な知識を学ぶほか、2035年のエスペックのありたい姿(ビジョン)を考え、経営層に提言を行います。
委員長として会長、オブザーバーとして社長と取締役が参加し、メンバーとの討議を行っています。回を重ねるごとに討議内容のレベルが高まっており、ジュニアボードメンバーの成長を実感しています。
ジュニアボード「YUME TEAM」
● ダイバーシティ&インクルージョン
女性活躍推進では、この5年間で女性管理職比率が4.7%から9.5%となるなど着実な成果を挙げています。また、男性育児休業取得率も昨年度比で大きく増加し、仕事と育児を両立できる職場環境が徐々に整ってきたと考えています。今後も多様な社員が活躍する活気あふれる組織を目指して、取り組んでいきます。
サステナビリティ経営を推進し、持続的な成長を目指す
「エスペック50年の森」植樹祭(兵庫県三田市)
グループガバナンスの強化としては、「エスペック行動憲章・行動規範」を時代に対応した内容に改定し、海外グループ会社を含めて社員教育を実施しました。また、サステナブル調達の推進と徹底を目的に「エスペック サステナブル調達ガイドライン」を新たに策定し、取引先さまへの説明会を実施しました。本ガイドラインの活用により、サプライチェーン全体において人権・労働や安全衛生、環境などに配慮した調達に取り組んでいきます。
環境については、第8次環境中期計画(2022~2025年度)のもと、地球温暖化対策と生物多様性保全を重点テーマに掲げて取り組みを強化しています。創業75周年記念事業「エスペック50年の森」づくりでは、2022年から2024年にかけて3回植樹祭を開催し、約1万2千本の苗木を植樹しました。50年先の未来に向けて、生物多様性豊かな森を育てていくとともに、CO2の固定化にも貢献していきたいと考えています。
また当社は、温室効果ガス排出量削減目標として、2030年度までに2019年度比SCOPE 1・2(自社排出)60%削減、SCOPE 3(間接排出)30%削減を掲げています。この目標達成に向けて、省エネや地球温暖化係数の低い冷媒の搭載など環境配慮型製品の開発、取引先と一体となった活動の推進、事業所への再生可能エネルギーの導入などに取り組んでいきます。
今後も当社は、「経済的価値」と「社会的価値」の創出と向上を図るサステナビリティ経営を推進し、持続的な成長を目指してまいります。