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「過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置」を発売
先端パワーデバイスの熱設計における課題解決および信頼性向上に貢献
2025年11月28日
エスペック株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役 執行役員社長:荒田知)は、パワーデバイスの放熱特性を評価する「過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置」を発売しました。
近年、パワーデバイス(MOSFET・Si-IGBT・Diode)はグリーンエネルギーや電気自動車(EV)などさまざまな分野で欠かせない存在となっています。特に、SiC-MOSFET(シリコンカーバイド)などの先端パワーデバイスは、高効率で低損失の電力変換を可能にし、エネルギー消費の削減と性能向上、パワーデバイス自身や受動部品の小型化に寄与しています。一方で、小型化により単位面積・体積当たりの放熱量が増加するため熱管理が難しく、熱の蓄積による放熱性が課題となっています。そのため、設計の早期段階から適切な熱対策と信頼性評価が不可欠となっています。
当社はパワーデバイスの信頼性評価装置として、かねてよりパワーサイクル試験装置を提供していますが、この度、新たに過渡熱抵抗測定機能を追加し、デバイスの放熱特性の評価を可能としました。開発にあたっては大阪大学・産業技術総合研究所と共同研究を重ね、「ノイズ除去アルゴリズム」のライセンス提供により、特性の変化をより顕著に視認可能な構造関数を搭載しました。これにより高い放熱性能や複雑なモジュール構造を有するデバイスの熱抵抗を正確に測定することで熱設計上の課題を把握でき、デバイスの長期信頼性に向けた改善につなげることができます。
当社は、今後も製品・サービスの拡充に取り組み、先端技術分野の「熱」に関する技術課題の解決に貢献することで、先端技術の実用化を支えてまいります。
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過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置
■ パワーサイクル試験とは
パワーデバイスに大電流を流し、デバイス温度(Tvj)を目標温度まで発熱させ、目標温度に到達後、大電流を遮断し、チラー水や空気で下限温度まで冷却します。この温度ストレスの繰り返しにより、デバイスに熱応力を与え、ワイヤボンディングとチップ間、チップから冷却プレートまでの経路におけるパッケージ構造全体の耐久性の経時劣化を評価します。
■ 新機能「過渡熱抵抗測定機能」について
エスペックのパワーサイクル試験装置と、大阪大学・産業技術総合研究所で特許取得※したノイズ除去アルゴリズムを用いて、各構成部材の熱特性を可視化し、熱による劣化カ所の分析を容易にします。
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新機能「過渡熱抵抗測定機能」のイメージグラフ
| 従来技術 | 新技術 | |
| 測定した熱抵抗のデータに対して測定ノイズがのる。そのため、構造関数にした際に界面熱抵抗が曖昧になり各部材の傾向が把握しづらい。 | ノイズ低減効果が高く、界面熱抵抗の明確な評価が可能構造関数にした際に明確なグラフ化ができ各部材の傾向が把握しやすい。 | |
線が曖昧![]() |
線の山がはっきりしている![]() |
※ 特許取得詳細
【特許番号】特許第7241349号(P7241349)
【発明の名称】過渡熱特性解析装置、解析方法及びプログラム
【特許権者】大阪大学, 産業技術総合研究所
製品ページはこちら:
過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置
<本リリースに関するお問い合わせ>
サステナビリティ推進部 IR・広報グループ
TEL:06-6358-4744 FAX:06-6358-4795
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