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バイオ医薬品・試薬等の品質確保に向けて
当社輸送環境試験装置を用いタンパク質凝集メカニズムを解明

2022年03月24日

エスペック株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:石田雅昭)は、国立大学法人大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻 高分子バイオテクノロジー領域 内山研究室と、高品質なバイオ医薬品・試薬等の開発を目指して輸送試験方法の共同研究を行いました。当社の「輸送環境試験装置」(TRE-200)を用いて、バイオ医薬品における輸送時のタンパク質の凝集メカニズムの解明と凝集体発生の抑制、および評価方法の確立に向けて研究を続けてまいりました。

近年、バイオ医薬品などの高度化した医薬品の研究開発や生産量増加に伴い、輸送時のリスク評価や温度・振動の許容範囲を明確化することが求められています。また、輸送時の振動によりバイオ医薬品に含まれるタンパク質が凝集し品質が変化することがあり、凝集の抑制など医薬品投与までの安全性確保が業界の抱える課題となっています。
このような中、当社はバイオ医薬品や試薬等の品質確保のために輸送環境(温度、振動)を再現する「輸送環境試験装置」を2020年3月に発売しました。一方、大阪大学大学院工学研究科 内山研究室では「高品質なバイオ医薬品のための物性研究」をテーマに、輸送時のタンパク質の凝集に関する研究を進めていました。そこで、当社と大阪大学大学院工学研究科は2019年4月から共同研究を開始し、バイオ医薬品・試薬等の輸送時の品質を評価する輸送安定性試験法の確立に向けて取り組んでまいりました。

研究では、医薬品用バイアル瓶にバイオ医薬品(タンパク質溶液)を入れ、当社の「輸送環境試験装置」を用いて、振動加速度と周波数のさまざまな組み合わせで3軸振動にさらす実験を行いました。試験条件の設定においては、トラック輸送時の加速度データを参考に、振動加速度・周波数とタンパク質凝集の関係などを明らかにしました。研究成果は「バイオ医薬品輸送時に振動加速度と周波数が凝集におよぼす影響の解明および凝集抑制に向けた戦略」と題して、3月4日開催の第44回動物細胞工学シンポジウムにて発表しました。

当社は、バイオ医薬品や試薬等の研究開発を行う製薬メーカーや大学などの研究機関に「輸送環境試験装置」をお届けすることで、高品質な医薬品の開発や輸送試験方法の標準化に貢献してまいります。また、当社はバイオ医薬品やワクチン等を適切な温度管理のもと輸送・保管するコールドチェーンソリューションも提供しています。今後も製品・サービスの拡充により、医薬品業界における課題解決に貢献してまいります。

■大阪大学大学院工学研究科とエスペックの共同研究概要

研究者 ・大阪大学大学院工学研究科
 生物工学専攻高分子バイオテクノロジー領域
 助教 鳥巣哲生(大学側代表者)
・エスペック株式会社
共同研究テーマ バイオ医薬品・試薬等の輸送安定性試験法の確立
研究目的 バイオ医薬品・試薬等については、標準的な輸送安定性試験法がなく、品質を評価するうえでの課題となっている。そこで本研究では、広く利用可能なバイオ医薬品・試薬等の輸送安定性試験法を確立する。
研究内容 簡便な試験である振とう機、摩損度試験機等の機器を用いたストレス試験に加えて、実際の輸送データに基づいたストレス試験(汎用的な実施は困難)を行う。それらの結果を比較することで、簡便かつ実際の輸送データと関連付けが可能な安定性評価条件を見出す。
研究開始日 2019年4月1日~

■研究成果の発表

国内発表 第44回動物細胞工学シンポジウム 「バイオ医薬品の物性と開発戦略」
(2022年3月4日開催)
<講演タイトル>
バイオ医薬品輸送時に振動加速度と周波数が凝集におよぼす影響の解明および凝集抑制に向けた戦略

■ 輸送環境試験装置(TRE-200)の概要

写真:

医薬品や医療機器の破損(ラベル表示不良、機器および梱包の破損)の多くが輸送中に発生していると言われていますが、現在行われている規格試験では複雑な輸送状態を再現できず、適切なリスク評価が困難でした。本製品は-30℃~+70℃という幅広い温度範囲を制御しながらも複雑な3軸同時振動を再現でき、実輸送状態での試験を行うことが可能です。これにより、医薬品や医療機器の品質管理における輸送リスク評価を支援します。

写真:

    1. 用途:主に医薬品や医療機器の品質管理用途
      特長:
      1.実輸送時の温度と振動環境を再現

      温度範囲-30℃~70℃で、輸送時の複雑な3軸同時振動環境を90%以上実現できます(トラック輸送1000㎞相当の環境を20分間で90%以上再現)。これにより、輸送時リスクを適切に評価することができます。

    2. 2.低価格、省スペース、軽量化
      実輸送環境の再現に必要な最低限のスペックに絞り込み、シンプルな機器構成とすることで低価格で省スペース、試験槽の断熱には軽く断熱性能の高い発泡スチロールを採用し軽量化も実現しました。

    本リリースに関するお問い合わせ

    コーポレートコミュニケーション部 IR・広報担当

    TEL:06-6358-4744 FAX:06-6358-4795 
    E-MAIL:ir-div@espec.jp

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