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2023

The Power of Dreams | How we move you.
Hondaを支えるドライビングフォースとして新技術を創出
株式会社本田技術研究所 先進技術研究所を訪問

株式会社本田技術研究所は、1960年に本田技研工業株式会社から独立し、設立されました。既存領域に捉われない新技術・新価値商品の研究開発を通して、お客さまの喜びの拡大に挑戦するとともに、世界をリードする技術創出に取り組んでいます。全固体電池の開発に挑む先進技術研究所 材料・プロセス領域を訪問しました。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて電動モビリティ開発を推進
より安全かつ高容量・高性能な全固体電池の早期実用化に挑む

本田技術研究所における先進技術研究所
材料・プロセス領域の役割を教えてください。

本田技術研究所は、2020年より量産開発を本田技研工業に移し、先進領域の開発に集中しています。「未知の世界の開拓を通じた新価値創造」を目指し、陸・海・空に加え、宇宙、ロボットなど新しい分野にチャレンジしています。その中で先進技術研究所は、「環境負荷ゼロ社会」と「交通事故死者ゼロ社会」の実現に向け、環境負荷を低減する次世代電動化技術や安心安全技術の研究を担っており、私たち材料・プロセス領域では、次世代電池について材料および最終製品の生産プロセスをふまえた研究開発を行っています。

取材にご協力いただいた 株式会社本田技術研究所
先進技術研究所 材料・プロセス領域

(左から)チーフエンジニア 松田英樹様、
アシスタントチーフエンジニア 田中俊充様、
チーフエンジニア 松下忠史様、
アシスタントチーフエンジニア 神田北斗様

カーボンニュートラルに向けて、夢の次世代電池と言われる全固体電池の開発に挑戦されていますね。

Hondaは、2050年に全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを目指しており、そのためにはモビリティが排出するCO2をゼロにすることが前提となります。EVの本格的な普及期を前に、現時点では限られた航続距離や価格の高さに課題があります。このような課題を解決するために、Hondaは独自に全固体電池の開発に取り組んでおり、その実用化を早期に実現したいと考えています。

全固体電池の特徴と、早期実用化のために重視されていることを教えてください。

全固体電池には、「エネルギー密度が高い」「化学反応が安定している」「電解質のイオン伝導性が高い」という特徴があり、航続距離の拡大やコスト低減が期待されています。また、車内空間にゆとりが出る、動力性能を改善できる、充電時間を短くできるといったメリットが考えられており、これらを活かした開発により、お客さまに多くの価値を提供していきたいと考えています。また、私たちは早期実用化のため量産を見据えた開発に挑んでいます。単に研究室レベルでの技術確立ではなく、自動車メーカーとして優れた性能のEVを安く提供することを目指しています。

全固体電池の研究開発において、当社の恒温槽をどのような用途で使用されているのでしょうか。

全固体電池の実用化には、自動車の走行時、充電時、停車時における充放電性能を把握することが不可欠であり、寒冷地や赤道地帯など自動車を使用する地域を想定した温度環境での評価が必要です。例えば-30℃~+60℃といった温度環境を再現するために、エスペックさんの恒温槽を使用しています。また、全固体電池は従来の電池よりも温度変化に強いという特徴がありますが、限界性能を評価するために極低温や高温での試験も実施し、お客さまが安心してEVを使用できるよう電池の信頼性確保に取り組んでいます。

電池の性能を評価する充放電試験の様子
一定の温度環境下で電流を流し充電・放電を繰り返すことで性能を評価

最先端技術の開発に使用される試験設備には、安全性の確保が不可欠ですね。

全固体電池の試験は、新しい材料や構造など過去の知見がない中での実施となるため、安全機能を何重にもかけています。例えば、電池および恒温槽の状態のモニターや、恒温槽と電池の充放電機を連動させたシステム制御を行っています。恒温槽においては、異常発生時のインターロック機能、熱暴走時の消火装置の内蔵など多くの要望に応えていただき、Honda独自の装置に仕上げることができました。

エスペックの充放電試験用恒温槽(本田技術研究所内)
インターロック機能や消火装置を内蔵し試験の安全性を確保

当社に対するご評価はいかがですか。恒温槽の導入に先駆けて、当社が試験を代行する受託試験サービスも利用いただいていますね。

エスペックさんとはHondaが電池の充放電試験を始めた当初からの長いお付き合いです。エスペックさんの恒温槽は特に制御が難しい低温域での温度分布が優れており、アフターサービスも迅速です。また、受託試験所(エスペック宇都宮テクノコンプレックス内)が近くにあり、事前に受託試験所で試験を行ったうえで恒温槽を導入するという流れができ、開発を両輪で回すことができています。全固体電池の実用化に向けて、今後もよろしくお願いします。

先進技術研究所
材料・プロセス領域
チーフエンジニア 松田英樹様

「The Power of Dreams | How we move you.」
Hondaの原動力はいつの時代も一人ひとりの夢

2023年4月、グローバルブランドスローガン「The Power of Dreams」に「How we move you.」が追加されました。そこには、Hondaの原動力は、Hondaで働く一人ひとりの夢の力であり、Hondaの夢見るモビリティの実現で、人を動かし、心を動かし、世界中に夢を拡げていく、という志が示されています。インタビュー中、松田様はHondaの開発環境について「“自由闊達”がHondaの特徴。ゴールに対する思いや進め方は人それぞれだが、それを善しとするのがHonda。それらをつなげていけばゴールに近づいていける。」と語ってくださいました。一人ひとりの夢の力を原動力に、未知の領域である全固体電池に取り組むHondaの挑戦に、少しでもお役に立てるよう私たちエスペックも新製品・サービスの創出に注力してまいります。

株式会社本田技術研究所

●本社
設立:
1960年
住所:
埼玉県和光市中央1-4-1
事業内容:
Honda製品の研究開発
●先進技術研究所
住所:
栃木県芳賀郡芳賀町下高根沢4630

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