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特集2世界をリードする半導体最先端実装拠点として新産業の創出・育成に貢献公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団三次元半導体研究センター※を訪問三次元半導体研究センターは、2011年に先端成長産業育成を目指した福岡県の「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」の一環として福岡県糸島市に開所されました。世界をリードする半導体最先端実装拠点として、新産業の創出・育成に取り組まれている同センターを取材しました。最先端半導体の研究開発から試作、評価・解析までを一貫して支援する国内唯一の公的機関本特集記事は、2024年取材当時の内容です。※現在の名称は「福岡超集積半導体ソリューションセンター」▲三次元半導体研究センター様の役割を教えてください。三次元半導体研究センターは、最先端半導体の開発・製品化を推進するため、研究開発から試作、評価・解析までを一貫して支援する国内唯一の公的機関です。近年、5Gや生成AI、自動運転の普及に伴い、半導体の高性能化が進んでいます。半導体は回路が微細化すればするほど性能が向上しますが、すでに微細化は数nm(ナノメートル:10億分の1メートル)まで進み、物理的な限界を迎えつつあります。そのため、当センターが持つ複数の半導体チップを垂直に積み上げる「三次元実装技術」が性能向上につながると注目を集めています。▲三次元半導体研究センター様の特徴を教えてください。当センターの特徴は「三次元実装技術」の中でも、プリント基板内部に素子を内蔵して三次元に配線する部品内蔵基板を、量産レベルで製造できることです。試作工程としては、通常のプリント基板製造ラインに加え、基板内部に部品を搭載する実装装置も有しています。また、一つの場所に8インチのシリコンウエハの加工ライン(前工程)と、プリント配線基板、部品内蔵基板の量産ライン(後工程)の両方が構築されていることも特徴です。これにより、設計から生産(試作)、評価・解析という一連の「流れ」をつくり出すことができます。前工程、後工程といった垣根を越えた新たなプロセスへのチャレンジも可能で、このような支援機関はほかになく、国内唯一となっています。当センターは、開所当初から産学官連携によるオープンイノベーションを推進しており、企業間の連携支援などにも積極的に取り組んでいます。取材にご協力いただいた三次元半導体研究センターのみなさん※(左から)センター長末次正様、副センター長野北寛太様、三次元半導体部長(兼)社会システム実証部長小野昌志様※所属・役職名は取材当時25ESPECREPORT2025