ESPEC Quality is more than a word

MENU

Close-Up ESPEC

2020

世界最高水準のリチウムイオン電池で地球環境に貢献
株式会社GSユアサ LIB技術開発センターを訪問

日本の蓄電池の礎を築いた日本電池(1917年設立)と湯淺蓄電池製造(1918年設立)。この二つの企業を母体とするGSユアサは、高い技術力とチャレンジ精神で、100年にわたり環境や社会に貢献する革新的な製品を次々に生み出しています。全世界で利用が拡大しているリチウムイオン電池を開発するLIB技術開発センターを訪問しました。

環境規制や自動車の技術革新を背景に用途が広がる車載用リチウムイオン電池
お客さまの安心を第一に電池の安全性・信頼性を追求

LIB技術開発センターの役割を教えてください。

LIB技術開発センターでは、既存のリチウムイオン電池や次世代リチウムイオン電池の製品化に向けた開発やその周辺部品、生産技術を開発しています。当センターのビジョンは「お客さまに安心して使っていただける、喜んで使っていただける商品を開発すること」であり、電池の安全性、信頼性を最も重視しています。環境問題を背景に車載用リチウムイオン電池の重要性が増すなか、地球環境への貢献という期待も背負っています。

取材にご協力いただいたLIB技術開発センターのみなさん
自動車用・人工衛星用リチウムイオン電池を前に
ショールームにて
左から
技術企画部長 児玉充浩様
第五技術部長・第六技術部長 酒井友寿様
第六技術部 第三グループ職長 大倉野剛様
第六技術部 第三グループマネージャー 辻清雅様
技術評価部長 岡部一弥様

GSユアサの車載用リチウムイオン電池は電動車の駆動用をはじめいろいろな用途に使用されていますね。

排ガスやCO2排出規制などの環境規制を背景にEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などの電動車が世界中で増加しています。また環境意識の高い欧州では、エンジン車向けの始動用電池としてリチウムイオン電池を使用する動きも広まっています。このように車載用リチウムイオン電池は、HEV、PHEV、EV等の電動車向けだけでなく、エンジン始動、アイドリングストップ、さらには自動運転電源、バックアップなどあらゆる用途に使用されています。

電池は電動車の重要機能部品ですが、電池の安全性・信頼性確保について教えてください。

電動車にとって電池は、体の隅々に血液を送る心臓のようなものです。また、自動運転では一つの機能が壊れても安全に走行できるよう二重三重のバックアップシステムが必要です。自動車の故障は人命に関わるため、電池の安全性・信頼性がより一層重要となります。そのため、電池が使われる環境を想定し、それに耐えられる設計にするためのさまざまな試験を行っています。
電池の仕様は数百項目に及び、車種や電池の型式ごとに異なるため試験器が何台も必要です。一つの試験に例えば3,000~4,000時間かかり、電池を一つ開発するために最低数百個の単電池の試験をしています。当社ではエスペックさんの装置を多数使って、電池の性能や寿命、安全性を評価しています。

充放電試験用のエスペックの恒温槽(GSユアサ試験室内)
エスペックの集中管理システムでリモートでも試験の進捗を確認できる

当社の環境試験器でどのような環境を再現して試験を行っているのですか?

自動車はアリゾナ、ドバイなど酷暑の中を走ることもあればアラスカやグリーンランドなど寒冷地を走ることもあります。どのような環境で走行しても耐えられる設計にするために、-30℃~+60℃といった環境をエスペックさんの装置で再現し、寒冷地から酷暑までの気候を模擬した評価を行っています。実は自動車は20年経ってもまだ10%以上が現役なのです。しかし、実際に20年もかけてその性能や寿命を確認できないため、温度を使った劣化加速で20年先の寿命を想定しています。エスペックさんの装置によって当社の電池開発を格段に速めることができました。

  • 単電池の試験準備の様子

    単電池の試験準備の様子

  • 恒温(恒湿)器 プラチナスJシリーズ

    恒温(恒湿)器
    プラチナスJシリーズ

エスペックの試験器プラチナスJシリーズを使って単電池の性能を確認。万一の電池の発火に備え、試験器には消火器や温度センサーによる検知、解放ベントの設置など万全の安全機能が装備されている

LIB技術開発センターの目指す姿をお聞かせください。

リチウムイオン電池は、自動車だけでなく架線レス電車やハイブリッド電車、建機、また電力貯蔵や防災など産業用途でも注目されています。さらには電力の流れを最適化する次世代送電網「スマートグリッド」においても電池がキーデバイスになると思います。お客さまの安心を第一に信頼性の高い電池を生み出すことで社会の期待に応えていきたいと考えています。

地上から深海、宇宙まで幅広く活躍

GSユアサのリチウムイオン電池は、有人潜水調査船「しんかい6500」のほか、国産大型ロケット「H-ⅡA」「H-ⅡB」や陸域観測技術衛星「だいち2号」「こうのとり」などの航空宇宙でも多数用いられています。GSユアサLIB技術開発センターでは、さまざまな試験と検証のもとロジカルに性能品質を証明できる技術とノウハウを蓄積し、お客さまからの厳しい要求にもお応えしています。
LIB技術開発センターのチャレンジはこれからも続きます。

GSユアサのリチウムイオン電池開発についてご説明いただきました
左から 児玉部長、岡部部長、酒井部長、
辻グループマネージャー

株式会社 ジーエス・ユアサ コーポレーション

設立:
2004年4月1日
日本電池株式会社(1917年設立)と湯淺蓄電池製造株式会社
(1918年設立、後のユアサ コーポレーション)が経営統合し
設立された
住所:
京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地
連結売上高:
3,956億円(2019年度)
連結従業員数:
13,542名(2020年3月31日現在)
株式会社 GSユアサ
事業内容:
自動車用・産業用各種電池、電源システム、受変電設備、照明機器、紫外線応用機器、その他の電気機器の製造・販売

記事一覧

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011