ESPEC Quality is more than a word

MENU

Close-Up ESPEC

2018

世界初や独創的な最先端商品のものづくりを支える
ソニーグローバルマニュファクチャリング
&オペレーションズ株式会社品質保証部門を訪問

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社は、ソニー製品における要素技術の開発および商品設計、生産技術と製造、部品調達、物流、修理サービスを一貫して担う会社です。ソニー製品の長期信頼性を支える品質信頼性ラボ(品質保証部門 品質信頼性部)にお話を伺いました。

ソニー製品の長期信頼性を支える品質信頼性ラボ
新規技術や新規製品に即した新しい信頼性技術に取り組む

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズにおいて品質信頼性ラボはどのような役割や機能をお持ちですか?

品質信頼性ラボでは、ソニーグループの各事業領域における品質向上活動に対して、ハードウェアに関する「解析・評価の専門技術」と「知識・経験」を提供しています。メンバーの大半が化学を専門とするエンジニアで構成されており、ソニーグループ内においても珍しい存在で、One&Onlyな組織として活動しています。

One&Onlyな組織というと研究室をイメージしますが、具体的な活動を教えてください。

日常的には、事業部から持ち込まれる信頼性技術課題に対して、解析技術と評価技術の両輪で解決支援にあたっています。その活動から得られた知見や技術を各設計部署での開発時に提供することで、設計上流での品質・信頼性の造りこみをサポートしています。また、材料や部品の劣化・摩耗・腐食など共通の信頼性課題に対する要素技術・評価技術の開発を行い、社内基準などへの落とし込みを行っています。品質信頼性ラボの知見を広く活用してもらうため、ソニーグループ向けの教育や、製品の品質・信頼性向上のため未然防止活動を紹介しあうイベントの企画・運営も行っています。

品質信頼性ラボ
(品質保証部門 品質信頼性部)のみなさん

当社の環境試験器ではどのような試験をされますか?

製品に使用される樹脂、接着剤などの材料レベルでの評価が中心ですが、部品や半完成品での評価も行っています。例えば、部品レベルでの評価の一つとして、ソニーが作り社外発表も行っている「ゴム部品の硫化影響度評価」があります。ゴム部品の中には経時的に硫黄含有ガスを発生して金属の硫化トラブルを招くものがあるため、新規ゴム部品の採用時にはこの評価を行うことを社内自主基準として設けており、事前に問題のないゴム部品であることの確認を行っています。

小型環境試験器を用いて
ゴムの硫化影響度評価試験を実施
製品に使用するゴムをガラス瓶に入れた供試品

品質信頼性ラボのメンバーも製品が使用される環境を調査されるのですか?

信頼性試験では市場と同じ故障モードを再現することと、加速係数を明確化することが重要です。そのため、必要に応じて環境調査なども行っています。過去には、腐食試験方法を開発するために、日本や東南アジア地域において1年間にわたる腐食状況モニタリングを行ったこともあります。このような環境調査で得られた実劣化データと、環境試験器などで加速的に劣化させたデータとを比較することで、再現性が高く、かつ加速性のある新しい評価技術を開発しています。

新しい試験方法を開発するためにどのようなことに取り組まれていますか?

品質信頼性ラボを設立した2009年からHALTの手法検討を開始しました。主にHALT試験装置を活用して、設計段階での信頼性向上のための検討に取り組んでいます。また、エスペックさんが開催されている信頼性セミナーをきっかけにHAST装置へ追加導入したAir-HASTの機能を使用して試験時間の短縮化に向けた研究を行っています。

HALT試験装置

Air-HAST機能付
高度加速寿命評価装置

※HALT(Highly Accelerated Limit Test)
製品開発において短期間で製品の弱点を検出し、潜在的な不具合をいち早く取り除くという考え方に基づいた手法写真は、エスペックで取り扱っている代表的なHALT試験装置

松井統括課長はHALTの有効性を追求した信頼性研究に取り組まれ、日科技連主催の信頼性・保全性シンポジウムにおいて「推奨報文賞」を受賞されましたね。今後の研究目標を教えてください。

HALTについては奥が深く日々検討を進めていく必要がありますが、お客さまに長く安心してお使いいただけることと、ものづくりにおける開発スピードと設計品質をさらに高めることを目標に今後もHALTの研究に継続して取り組んでいきます。

品質信頼性部 信頼性解析課
統括課長 松井 慶輔 様

平本統括部長は日科技連主催の「実践!信頼性・品質技術研究会」での活動や、品質信頼性ラボで開発した評価技術を学会で発表するなど、業界全体のレベルアップにも貢献されていますね。

「業界全体のレベルアップにも貢献」とは恐れ多いです。研究成果の一部を学会発表することで、自分達の技術レベルが他社と比較してどうなのかを常に知っておくように心がけています。また、社外の研究会で同業他社や異業種の方々と情報交換や議論をすることで、新しい気づきを得ることもあります。エンジニアにとって「井の中の蛙」になってしまうことが一番避けたいことなので、学会や研究会を通して外の世界とつながっていることが大事だと感じています。

品質保証部門 品質信頼性部
統括部長 平本 抽 様

当社製品・サービスに対するご意見をお聞かせください。

信頼性試験についての情報源として、Test Nav(i 信頼性試験情報サイト)や信頼性セミナーを活用しています。引き続き、私たちとは異なる視点での信頼性試験情報を提供し続けていただけると嬉しいです。また、信頼性試験は長期にわたる試験を行うため、装置の故障が少ないことやトラブル発生時の対応の早さが重要ですが、この点、エスペックさんの装置やサービスに期待しています。

独創的な商品を提供するソニーらしく、それを支える品質信頼性ラボの活動も新しい視点で取り組まれています。これからも、品質や信頼性向上に不可欠な存在として、ますますのご活躍を期待しています。

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社

会社概要(2018年4月)

設立:
2016年
本社:
東京都港区港南1-7-1
売上高:
8,595億円(2017年度)
従業員数:
約4,500名
事業内容:
ソニー製品に関する要素技術の開発および商品設計
生産技術と製造、部品調達、物流、修理サービス

記事一覧

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011