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Close-Up ESPEC

2014

微生物研究に取り組む
立命館大学今中研究室を訪問

写真:微生物研究に取り組む立命館大学今中研究室を訪問

微生物が環境やエネルギー問題を解決に導く

当社は、1997年に「公益信託エスペック地球環境研究・技術基金」を設立し、地球環境保全に関する研究や技術開発などに資金援助する活動を行っています。同基金の設立時から現在まで、運営委員長としてご協力いただいています立命館大学生命科学部の今中忠行教授にお話しを伺いました。

◆エスペックの地球環境研究・技術基金は、1997年の創業50周年記念事業として設立し、今年で17年目を迎えます。今中教授には設立当初からご指導いただき誠にありがとうございます。

地球環境問題の解決には幅広い知識と知恵、地道で継続的な取り組みが必要

エスペックさんの同基金の設立は、非常に素晴らしい考え方で始められたと思います。21世紀は環境問題を抜きにしては考えることはできないという国際的な認識をしっかり持っておられたと思います。環境問題は、物理学や化学、生物学的な側面、経済や法律、国家レベルの政治にも関係する非常に幅広い分野です。このため研究のターゲットが非常に絞りにくく、研究費の申請も難しい分野ですが、エスペックさんの継続的な研究支援はとても意義深いことです。このような地道なサポートがやがては研究者のすそ野を広げ、環境問題の解決につながると考えています。

写真:今中忠行教授

写真:第17回 エスペック地球環境研究・技術基金 授与式

エスペック地球環境研究・技術基金審査委員
今中 忠行 立命館大学 生命科学部教授、京都大学名誉教授
大政 謙次 東京大学大学院 農学生命科学研究科教授
佐山 浩 関西学院大学 総合政策学部教授
鈴木 胖 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)関西研究センター所長、大阪大学名誉教授
松下 和夫 京都大学名誉教授
吉村 元男 株式会社環境事業計画研究所会長、鳥取環境大学元教授

◆今中教授は微生物学がご専門ですが、最近の環境やエネルギー問題に関するご研究を教えていただけますか。

ナノバブル技術を活用して微生物の力で琵琶湖の水質浄化に挑戦

写真:柳が崎実験場(琵琶湖汽船桟橋)柳が崎実験場(琵琶湖汽船桟橋)

最近では、ナノバブル(超微細気泡)を用いて微生物を活性化させ、琵琶湖(滋賀県)の浄化を促進する研究を行っています。琵琶湖というのは、400万年の歴史を持っている古代湖であり1400万人の飲料水を供給する水がめですが、湖底のヘドロ化が進んでいます。琵琶湖の水に空気をナノバブル状態にして入れると、水とともにヘドロの中に浸み込んで好気性の微生物が働き、その微生物がヘドロを水と二酸化炭素に分解するという考え方です。ナノバブル技術を使えば、空気をセラミックスのフィルターを通して流すだけでナノバブルが発生し、微生物活性化によるヘドロの浄化ができるのです。水をかき混ぜる必要もなく、とても安全に安心して費用もかからず安価に水質浄化ができます。実験で成果は確認できています。

※ナノバブルはナノ(10億分の1)メートルサイズの空気の泡。極めて小さいため浮かび上がらず水中にとどまる。

◆極限環境に生きる微生物の生命原理を徹底解明されていますが、微生物に環境問題解決の働きを期待できるのですね。

超好熱菌の働きで廃棄バイオマスから水素を生産、エコでクリーンなエネルギーを創出

写真:超好熱菌超好熱菌

1993年に鹿児島県小宝島の温泉から超好熱始原菌の分離に成功しました。本菌は、60℃から100℃で育成する嫌気性菌であり、細胞は直径が約1μm(ナノメートル)の不定球菌で複数の鞭毛を有している始原菌でした。研究の結果、比較的簡単な代謝経路を利用して、水素を発生できることがわかりました。この成果を応用して、例えば食品加工工場のジャガイモやサツマイモなどの廃棄物処理に超好熱菌を活用することで連続的に水素を生産できます。この水素を集めて燃料電池を用いれば電気に転換することが可能となります。微生物がエコでクリーンなエネルギーの創出に活用できるということです。

南極地域由来の新規微生物群を解明

今中教授は2004年11月から2005年3月にかけて第46次南極地域観測隊に参加されました。南極海や露岩地域の土壌、内陸湖沼などから262サンプルを採取し、多数の新属・新種の微生物を単離することができました。

写真:南極地域由来の新規微生物群を解明(1)

写真:南極地域由来の新規微生物群を解明(2)

≪今中忠行・いまなかただゆき≫
立命館大学生命科学部教授、京都大学名誉教授

1969年大阪大学大学院工学研究科修士課程修了。

マサチューセッツ工科大学博士研究員、大阪大学工学部教授を経て、1996年から京都大学教授。2008年より現職。